2020年、BL漫画、のちハイキュー

初めまして。なっちと申します。絵描いてます。

ぽっぽアドベント16日目、参加させていただきます。

adventar.org

 

2020年色んなことが変わりました。

いいこと。

今年初めて連載のコラムに絵を提供するというお仕事を頂きました。やった~!

グループ展に参加できました。ありがとう!

 

悲しいこと。

コロナ禍によりロンドンで予約していたティモシー・シャラメの舞台が延期になったこと。

2020年後半は、コロナ禍によって来年4月からの派遣切りが決まり、就活しなきゃならなくなったこと、ケガが続いたりしたこと。かなし。

 

今までは家に居りゃソファから岩のように動かず配信を見続け、Netflixに「まだ見てますか?」と問われるほどストイックに向き合ってきたビンジアスリートであったが、締め切りを意識して制作をするようになり、ビンジ活動の代わりに隙間隙間で沢山漫画を読みました。特にBLを。

悲しみの果てに、さらに加速度的にBLを読み、飽き足らずアニメや漫画を積極的に摂取しました。

 

ということでこのエントリではジャンジャンバリバリBLを読んで良かった作品の感想を書きたいと思いますが、慎重に読んだ理由も少し書いています。タイトルから飛んで好きな部分だけ読んで下さればと思います。

また11月上旬にハイキューにハマって1ヶ月程度で45巻・連載8年すなわちほぼ人生みたいな時間を喰らい尽くし月夜に咆哮した話も後半書きたいと思います。

 

はじめに

白泉社キッズであった私は、まあまあ昔からBLを読んできたが、そこまで熱心な読者であり続けた訳ではなかった。名作と呼ばれる作品もあまり読んでいないかも知れない。

 

個人的なBL心得

あくまで以下は私の読み方であり、誰もが自由に読んでいいと思うことはもちろん大前提であるけれども、ただ、もう2021年になるのだし、私もBLに関して倫理感ガバガバでよいお年頃でもないと思い悩んだ。

私は今のところ女として生きた時間が多い人間なので、女性が性的に消費されることに対してはある程度警戒心が働くが、男性が主人公の場合、この表現、もし女子だった場合はどうだろう?と反転して考える視点も忘れてはいけないと思っていて、絵のデッサン狂いをトレース台で反転してチェックするような感じで考えている。

差別的言動、性暴力、関係性のパワーバランスの傾きが容認されていてほしくない。性的同意が得られていてほしい。もしこういった内容が描かれるのであれば、最低限悪いこととして描かれていると、読んでいても納得できる。

ゾーニング

とはいえ、本エントリでは直接的な性描写がほぼないものをリストアップした。

性描写が含まれる作品についてのレビューは別記事としてUPした。

 

 

大人の人はこちらに↓

 

 

 

natsuki178.hatenablog.com

 

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私は物語を喰らう残酷な消費者の一人であることは間違いないが、また物語に救われなければ生きられない人間でもある。私はほとんど物語というものに共感を求めていない。私は遠くへ連れて行ってほしい。私は自分が生きられなかった時間や想像すらしなかった世界に連れて行ってほしい。

あくまで私の基準でしかないので、ここはスルーかよ???という部分もあると思う。

大人として、読み手として、消費者として、BLに限らず物語を受け取る上で自分の未熟な倫理観から来る矛盾や葛藤や罪悪感などを覚えることはあるけれど自問し続けて、勉強していく以外ないのかなと思う。

 

ではレビューまいります!

 

 

ワンルームエンジェル

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どん底の生活を送る冴えない男の元に少年の姿をした天使が現れ、同居することになり、死んだように生きていた生活が色づき始める。

近年のBL作品の中でも珠玉の傑作である、間違いない。

BLというジャンルに収まらないとよく評されるが、読了後どうかなってしまうかというくらい涙が止まらなかった。はらだ先生は痛みから目を逸らさずに真正面から描き、一方で凡人には及びもつかないギャグセンスを持つ天才だが、ワンルームエンジェルは本当に優しい作品だ。この作品に出会えたことを考えると私の足の指の骨ヒビ入ったことは等価交換だったんだ。

ネタバレしたくないので、これ以上書けない。お願いだから全人類読んでください。読んだら連絡下さい。体育館借りとくから、倉庫前集合。一緒に泣こう。

 

 

マイオンリードギー


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犬BLである。新しい!が、わんわんBL物語なのではなくて、人間にも犬にもなれる人狼と人間のBLだ。変わった設定だが、お互いの気持ちを丁寧に確認していき、犬と人間の付き合い方も考えさせてくれる優しいBLであり、エロいところはほとんどなく心穏やかに読めるが、犬から人間に変身するところで、あら!というところがあってニッコリしてしまった。

echo先生の描く人物はとても可愛らしく、同僚たちの造形が素晴らしいのだ。人間の時の造形が犬種(猫もいる)とぴったり合っていながらどれも自然で、なんという画力!と奥歯を食いしばった。

犬愛に溢れていて、BL愛にも溢れていて、私にこれ以上ぴったりな漫画はないだろう。このように自由で愛らしいBL漫画が生まれたBL界の風土にも感謝である。お心当たりの方、是非ご一読ください。健康になれます。同じ世界観で先に刊行されている マイ リトル ドギー も同じく最高である。しかし本当に両作とも人狼の大山さんと茶太郎くんのルックス描写が素晴らしい。イタグレも描いてほしい~。

(マイ オンリー ドギー にはマイ リトル ドギーの続き短編が収録されている。)

 

 

 

鯛代くん、君ってやつは

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高校時代で時が止まらなくて良かった。かわいい蛯原先輩に出会えてよかったね鯛代くん。ちょっと顔がホラーぽくて陰キャの鯛代くんと鯛代くんが惚れているめちゃかわいくて世話焼き体質の蛯原先輩がひとの漫研(字書きでも絵描きでもない2人)で大騒ぎするPBL(ピュアなBL)である。

オタクサークルの描写が「わかり」で楽しく、おうちで鑑賞会やらオタク合宿やらイベントに必然のコスプレやら、次々楽しい行事とともに♡ポイントが激増して、まったくゲームやらない自分も(もしかしたら恋愛ゲームってこういう感じなのか…おもしれーヤツ)みたいな思考も芽生えるくらいである。

あと、当て馬がすごく良いし、オタサーのみんなもとても良いし、絵がとにかく上手くてすごいかわいいので満足度がすごい。かわいいが無限に出てくる。

2巻が来年出る。生きる。

https://www.amazon.co.jp/dp/4799742841/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_5DGYFb7M2W9EW

 

 

 

500年の営み


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恋人を亡くし自殺未遂をはかった寅雄は250年の冷凍睡眠の後、目覚める。そこに亡き恋人と姿かたちがそっくりなアンドロイド・ヒカル=Bが居た。できそこないのヒカル=Bと生前の光との違いを許せず素直に愛せない寅、5世紀の時をかける壮大なリリカルSFBLの傑作である。

この世には好きにならざるを得ないプロットというものを皆心に抱えて生きているだろう。わかるぜ。私の場合はアンドロイドと心を通わせる話だ。(PLUTOの中では特にノース2号の話。心がむちゃくちゃになる。)

ヒカル=Bはできそこないという設定なのだが、それゆえに手間がかかり、「人間らしい」交流が生まれる。矛盾を愛する人間とはどういう存在なのか。何度も絶望し希望を持ち、立ち上がり、めぐり合う。火の鳥の祝福を受けた物語である。

 

 

春と夏となっちゃんと秋と冬と僕 

 

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OBL(幼馴染BL)である。 散文調というか、具体的にこれといった太いストーリーが何かあるわけではなく田舎に住む幼馴染(この設定大好きか)のシマとナツオが恋人同士で、彼らの日常を切り取り、季節が進んでいく。(少しだけドキっとするシーンがある。)1~2ページで出来事を綴っているだけなのにこんなに心臓苦しくなる?というくらい直球でぶち込まれる。シマとナツオがお互い大好きを隠さずに毎日一緒にいて、他愛のない出来事を共有している瞬間の積み重ねが眩し過ぎて、これ日めくりBL?天才?発明?

恐らく自分がこの高校生BLとかOBLが好きな理由は、カミングオブエイジというか、ライフステージの否応ない変化に覚えのある絶望を感じることと、ストーリーのギミックとしての高い効果に惹きつけられるからだと思う。

何にも負けないような気がしているけれど、時間は間違いなく過ぎていて、きっとこのままじゃ居られないけど、もっと二人は素晴らしくなるかもしれないし、もしかしたら悲しい未来があるかも知れない。そういうキラキラした痛みも逃さない描写の細かさは佐岸左岸先生の画力によるところが大きいと思う。これデビューコミックスて!!!

オールドファッションカップケーキ もすごく好きです。

 

 

 

木々は春

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ゲイなのかどうか迷っている大学生由木くんと、つらい過去のある研究員木庭さん、二人とも人と向き合うのは上手じゃないけど少しずつ距離が近づいていって明るい方向に進んでいく。

ジャケ買いした。だってQ*1でしょ木庭さん。買わずにおられない。中陸なか先生の描く男性の造形が本当に好みでお洋服もとてもおしゃれで可愛らしいのも見ていて楽しい。

人間関係を維持するときのぎこちなさや、目の前にいる人は放っておけないことあるよなあと思わされたり、かなりリアルで心理描写が真摯だと思う。読後感が爽やか。ミモザを男子が持つのとっても良いですね。

  前日譚が「たゆたう種子」で、その後がこの「木々は春」。

 

カラオケ行こ!

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もうあらすじは良いですよね。綾野剛すら衝動がアレしているそうなので。

狂児と聡実、BがLする3年前の物語。はじまりの神話である。

いや~一生Lしなくても、たまにライフステージの変わり目に現れてはほのかに「なんだこの気持ち」を掻きたてて消えていくのもいとをかしなどと思っていたら

 狂児と聡実のこの2ショット、婚礼写真か。

これは祝言あげたちゅうこっちゃ… 

 

 

さてと…

2020年11月某日、突然

ハイキュー!!にハマった

 

故郷のマブダチにおすすめされて軽い気持ちで見始めたが、見事ドハマりしてハイキューのことしか考えられなくなった。

ネタバレが過ぎるのと日向と影山の関係を語りた過ぎて長大になってしまったので別エントリにネタバレを含む内容をぶつけました。以下は上記エントリの要約にします。

 

natsuki178.hatenablog.com

 

 

ハイキューは言わずと知れた週刊少年ジャンプの大人気作で連載8年半、2020年11月に最終巻が出て完結したバレーボール漫画である。

あらすじ

主人公・日向翔陽は小学生の時に「小さな巨人」の試合を見てバレーを志すも、中学にはチームが無く、1度しか試合に出れなかった。最初で最後の試合は当然ボロ負けだが、相手チームのセッターにお前は何をやっていたんだ、と言われてショックを受ける。しかし、あの小さな巨人がいた高校に進学し、待望のバレー部の門を叩く。しかし同じく入部希望に来た同級生は中学でボロ負けした相手チームのセッター影山飛雄だった。日向はバレーはド下手だが、類まれなる運動神経の持ち主であり、王様という異名をもつ天才セッター影山となんやかんや喧嘩しながらもコンビを組んでいく、という青春バレーボール物語である。

 

日向と影山はバレーボールを通じて自分を高め、相手を高め、自分を追いつめ、相手を追い詰め、誰よりも相手を信じ、誰よりも相手を求めているのである。この感情はとてつもなく高エネルギーではあるが、何色でもない。誰よりも相手を見ているが、相手を気遣うようなことはあまりない。相手に対してこんなに尊大で居られるのもそれは関係の強固さの証明に他ならない。

影山が日向の調子を伺うときにどう言っていいかわからず「オイ!元気ですか!!」と頭とっ散らかったまま尋ねるコマを目にした時、このコマを毎晩クラシック音楽を聴かせ毎朝水をやって育てた甲斐があったという偽の記憶まで出現したほどです。

 

日向はかなりコミュニケーション能力が高く割と好かれる性格の良い子だが、影山はもともと口下手で性格に難がある。王様の異名も実は独裁者のような態度を揶揄して付けられたのである。しかし、その影山はド下手といいながら毎日日向と対人パスをする。天才なのに。(しかし1年生4人で残りの二人は絶対に離れがたい月島と山口[ここ付き合ってますか?]なので日向影山ペアは不可抗力とも言える。)

 

ところで、この話は10時間くらいぶっ通しで話せるくらい好きポイントなのだが、日向と影山、あんなに仲悪いのに合宿などではおふとん隣同士、バスも隣の席、結局高校時代はいつも一緒なのだが、初詣に日向が誘ったら「行かない」とだけ返事をする。

 

影山は日向の打点を上げるために、(勿論自分がセッターとして最高の攻撃を生み出すことを考えているとはいえ)スパイカーである日向がどうやったら最高の状態で打てるかを常に考えている。日向のほうが人懐こくて話しかけるのはほぼ日向の方からだが、影山の方が日向のことを考えているのだと思う。神よ。こんなことってありますか?

こういう関係性の展開が各所にある。対戦校で主だったキャラクターは大体セッターとスパイカーである。セッターとスパイカーってこんなはちゃめちゃに強火の関係だったっけ?私は野球のこと全然わからないけどもしかして野球も投手と捕手の間に強火展開ありありなのですか?

さて、私がハイキューでとても好きなところは何もセッターとスパイカーの関係性がありがたいからだけではない。(いや正直ありがたすぎて各校ごとに1エントリ書けるし正直孤爪研磨のだけで論文書けるけど)

 

日向はきわめて泥くさい努力を怠らない。共感性羞恥とも近いような、胸がつぶれるような情けなさから逃げない。無力で、無知であることを、圧倒的に力の差のある人から突き付けられる。それでも日向は、絶対に下を向かないし、いじけたりしない。このいじけないっていうの実はものすごく難しいことでしょう。

 

私はこの泥臭くて、みっともない様子すらしっかり描くところがもはや児童文学のような滋味に満ちていると思う。

 

 

毎日少しずつ読み進め、私はついに最終巻にたどり着いた。

私は心臓を叩いた。深夜に咆哮した。両目からマグマのように涙が流れた。

 

信じているんじゃなくて、お前はそこにいるとただ知っている。

つまりこれはクラウドアトラス。

 

なるほどわからんでしょう。ネタバレOKであれば上記別エントリご覧ください。

 

出てくる高校ごとに色々と言いたいことはあり、大変人気の作品なので二次創作も豊富でありがたい次第である。

私はカップリングセンスが欠落しているので、描かれている通りセッターとスパイカーがニコイチで合掌なのだけど、各校のセッターがどの選手もすごく魅力的で引き出し!!!多い!!!と書き初めしたいと思う。

 

筋金入りのゲーマーで、ゲームセンスに優れた孤爪研磨のことが大好きなので、それはまた追々論文にまとめたい。

 

終わりの挨拶

好きなことをひたすらダラダラと書き綴ってすっかり長くなり恐ろしく申し訳ない気持ちです。

とはいっても、すべて有名で売れ売れの作品ばかりなので(R-18版のタイトルも含めて)特に発掘といったわけでもなく知ってる知ってるの嵐だと思う。BL研究1年生であります。

 

 

今年後半は、BLカテゴリではない漫画やアニメもたくさん嗜んでおり、(オタク界隈のネタが)読める、読めるぞ!!であります。

 

本当はね漫画夜話をやりたいのですよ。コマごとにこの表情とか目線とかモブまで語りたいですね。

 

来年はGL開拓も含めてたくさん読みたいと思うので、そのために金を稼ぐ必要があり、仕事を探したり、絵の仕事も増やせるよう頑張りたいと思う。

長年の憧れであるグリーンランドにも行きたい。何かも欲張っていきたい。

  

明日12/17はトモイさん、たっくまさん、まっくるGさん です。たのしみですね!

  

長々とありがとうございました。

みなさま、共に健康でまた1年過ごしましょう。

 

*1:ダニエルクレイグ版007に登場するクォーターマスター。ハイスペックなITスキルを持つ武器係という設定だが焦るとケーブルを引っこ抜くという荒業も駆使する。ベン・ウィショーが演じており、眼鏡のベン・ウィショーの可愛らしさに世界がひれ伏す。猫を飼っている。寝るときはパジャマで朝アールグレイを飲む。猫費用を募金したいという声が世界中から寄せられている。

2020年よかったBL漫画(R-18版含む)

2020年、ジャンジャンバリバリBLを読んで良かった作品の感想を書きたいと思いますが、慎重に読んだ理由も少し書いています。タイトルから飛んで好きな部分だけ読んで下さればと思います。

※本記事には性描写を含む作品についての感想レビューも含まれるので未成年者は読まないでください。

 

はじめに

白泉社キッズであった私は、まあまあ昔からBLを読んできたが、そこまで熱心な読者であり続けた訳ではなかった。名作と呼ばれる作品もあまり読んでいないと思う。

 

個人的なBL心得

あくまで以下は私の読み方であり、誰もが自由に読んでいいと思うことはもちろん大前提であるけれども、ただ、もう2021年になるのだし、私もBLに関して倫理感ガバガバでよいお年頃でもないと思い悩んだ。

BLは性がテーマに取り上げられていることが多く、また若年者が描かれることも多い。

私は今のところ女として生きた時間が多い人間なので、女性が性的に消費されることに対してはある程度警戒心が働くが、男性が主人公の場合、この表現、もし女子だった場合はどうだろう?と反転して考える視点も忘れてはいけないと思っていて、絵のデッサン狂いをトレース台で反転してチェックするような感じで考えている。

 

ゾーニングについて

本記事には性描写を含む作品についての感想レビューも含まれるので未成年者は読まないでください。

偉そうにポリティカルコレクトネス(PC)のことを書いたくせに、この記事で紹介する作品が含む性描写のゾーニングに当初気が回っていなかった。気を付けなくては。ご指摘頂いたお友だちに感謝です。

差別、暴力、性的同意について

ホモフォビックな言動、性暴力、圧倒的なパワーバランスの傾きが容認されていてほしくない。性的同意が得られていてほしい。差別的表現は悪いこととして描かれていると、読んでいても納得できる。

 

多様な性や多様な生き方が祝福されまくってほしいが、性行為においては対等な関係性で進んで欲しい、安全性配慮が無視されていないで欲しい。

もし暴力的表現が描かれるのであれば、同意がある(SMなど)、または悪いこととして描かれていると読んでいても納得できる。 (本エントリにもそういう作品はある)

 

 

表現はあくまで自由だけれど、PCを踏まえていても面白い作品は山ほどある。

  

受け攻めおよび表記の話

さて、よく男性同士の関係性について、名探偵の皆さんは受け攻め論争を行い柱合会議が開かれるが、私はあまり興味がない。(受け攻め論争することを非難しているわけではありません。「圧倒的わかる」の瞬間も多々ある。)

漫画作中では、いやっちゅうほどガッツリ描かれているが、要するに私はどっちだっていいんですよ。安全と体調に気を付けて頂ければ。もちろんやらなくたっていいわけだ。あとはお2人さんで、という旅館の中居気分である。本エントリにおいて表記ぐちゃぐちゃじゃないのよと思うかも知れないがお許しください。

 

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私は物語を喰らう残酷な消費者の一人であることは間違いないが、また物語に救われなければ生きられない人間でもある。私はほとんど物語というものに共感を求めていない。私は遠くへ連れて行ってほしい。私は自分が生きられなかった時間や想像すらしなかった世界に連れて行ってほしい。

 

私はまだまだ気が付いていない部分が沢山あって、大人として、読み手として、消費者として、BLに限らず物語を受け取る上で自分の未熟な倫理観から来る矛盾や葛藤や罪悪感などを覚えることはあるけれど自問し続けて、勉強していく以外ないのかなと思う。

 

ではレビューまいります!

 

同級生

 

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バンドマンで華やかな草壁と影のある優等生の佐条は同じクラスの合唱の練習がきっかけで、惹かれあい、恋を育んでいく。

言うまでもなく、BLの金字塔である。明日美子先生の美しい線で極限まで細やかに恋が描かれると、こんなに鋭利に胸に刺さるのか。つらいシーンじゃなくても何故こんなに苦しくて涙が出てくるのか。

実は一昨日なのである。最新刊までたどり着いたのは。この前(2020年12月11日)、Netflixでふと「同級生」のアニメを見てみようと思いたち60分真顔で微動だにせず見てしまった。今すぐ読まなければ死んでしまう!と思い、一気に6冊

「同級生」「卒業生」(春、冬)「空と原」「O.B.1」「O.B.2」を読み、続けて「blanc #1」「 blanc #2」も入手した。数日で感情を酷使してしまい、しばらく震えながら生きていた。この世の総てがブレて見えた。

尊いポイントは数えきれないのだが、何せ佐条がすごいのである。暗い優等生の佐条が無自覚に色気を振りまいている。自分は地味な人間だと佐条は言うが、まあまあ色んな人がコロッといく。

あと、日本の法制度、佐条を泣かせやがって。まじ許さん。ぶっ潰す。

二人の名前が奇跡なのだが、草壁光(ひかる)と佐条利人(りひと)、響きは違うのだが、利人はLicht、ドイツ語で「光」なのだ。二人は同じ名前なのである。運命。

blanc#2のあとがきで明日美子先生はこのように書いている。

「そもそも彼らのことをここまで描くつもりはありませんでした。

(中略)

でも

大げさに言えば いつか筆を折る日が来た時に

きっと彼らのことを描いておかなかったら

きっと後悔すると

そう思い、描くことをきめました。」

出典元:「blanc #2」中村明日美子・著

 

このあとがきでもう無理だった。あとがきで号泣したのはブラックジャック以来だ。中村明日美子先生、ありがとうございます。

2006年(!)の「同級生」連載開始から14年経過して、私はたった数日でこの14年を駆け抜けてしまったのだが、blancで知れた2人の本当の気持ちや明かされていなかった真実があって(私は数日で全てを知ったが)、中村明日美子先生が生きてこの物語を伝えてくださり、私はこの2人のことを深く知れたこと自体に感動している。卒業生総代みたいになってきた。

 

そして!その後の二人のことを描く連載がスタートするそうです。神よ…!

中村明日美子先生のお住まいの方角に参拝したいのでどうか方角だけ教えて下さい。


君ありて幸福

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断りきれない優しい性格の主人公が悪魔のような尻尾を持つ関西弁の男に誘われて関係を持つようになり、ラブラブ過ごしていくのだが、次第におかしな方向に物語が進む。

もはやラストはサイコホラーに展開していき、両者の関係性が異常な緊張感で描かれ、かなりキワキワの終着点にたどり着くのだが、それでも繊細ですこし優しさが残る不思議な作家だと思う。本作に収録の「川の水は甘い」も、コミックス「とろける恋人」でも、山田袋先生独特の世界観で繰り広げられる、人ならざるものとの関係がとても儚く危うく魅力的で大好きだ。居場所のない歪な人間が人ならざるものから抱擁されるとき、そこは異界であり現実であり天国であり、刹那的な交歓に対する目線は少し乾いていて、優しくて、戻って来れないと感じる。

 

キューピッドに落雷

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今年一番読み返した。

クールでルックスが良い蒼生先輩には唯一弱点がある。雷がこわいのだ。そんな先輩のことを好きになっちゃった後輩が先輩!好き好き!ということで付き合って最高。常に最高。幸せな様子をこち亀くらい描き続けてほしい。

とにかく二人が尊い。可愛い。好き過ぎて語彙がスッカラカンになってしまった。

お互い大好きだ、っていうだけで、最高だし何よりの奇跡なのだからハッピーすぎて雷に向かって叫びたくなる。

鈴丸みんた先生の描くキャラクターのルックスは最高である。顔はかわいいのだが、身体がけっこうがっちりしている、この画力よ!先輩はクールでぶっきらぼうだけど、大事なことは照れながらもちゃんと言う。後輩の慎吾はとにかく毎秒毎秒先輩が大好き。初体験の時の先輩の腹のくくり方もかっこいい。描写が丁寧で尊くて脳みそが沸騰する。読んでいると憂き世が忘れられるので特に夏頃毎日読んでいた。大好き!!!!!叫びながら町内一周したい。どんだけ叫ぶの。


不屈のゾノ 

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貧乏な出戸(デト)とピンク髪のヤンキー・ゾノは昼飯のパン競争を巡って喧嘩するようになるが、喧嘩の時にゾノが発したエロい声を聞いてしまったデトはゾノが気になってしまう。はい、付き合います。

この作品の素晴らしいところは作者のしっけ先生がこだわり抜いた(と思われる)ゾノの八重歯の描写である。エロいシーンでゾノの口の中が見えるのだけど、全体のキャラ造形はシュッとシンプルで可愛らしいのに、そのテイストを損なわずゾノの口腔内をかなりきっちり描く筆力に感動した。あとジェラートピケ的なふわふわのかわいいルームウェアを男の子に着せて下さってお歳暮どこにお送りしたらよろしいでしょうか。

 

愛しの愚かもの

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「愛しの愚かもの」は同級生の男子同士がなんやかんやワーキャーして付き合い、かわいいコスチューム(メイド服とかミニスカポリスとか)を着ていちゃいちゃして結局ラブラブでよろしという話だが、三谷くんがチョロい所が愛しくて感情表現が今ぽくてテンポが良い。チョロいゆえに大道寺の計略にはめられてほだされる流れではあるが、三谷は怒るし大道寺は反省する。ありがとう。

少し前におすすめで教えていただいたドンドン先生の「酒を泳ぐアザラシ」がすごく良かったので買った次第である。約束されていた満足感。

あと同時収録の「犬と猫のよくある話」ではクライマックスに電子ならでは?と思われる、見開き1ページだけカラーを使ってるページがあってそのアイディアにもすっかり惚れてしまった。センス良(よ)!!!

酒を泳ぐアザラシ|COMIC MeDu (こみっくめづ)

 

ワンルームエンジェル

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どん底の生活を送る冴えない男の元に少年の姿をした天使が現れ、同居することになり、死んだように生きていた生活が色づき始める。

近年のBL作品の中でも珠玉の傑作である、間違いない。

BLというジャンルに収まらないとよく評されるが、読了後どうかなってしまうかというくらい涙が止まらなかった。はらだ先生は痛みから目を逸らさずに真正面から描き、一方で凡人には及びもつかないギャグセンスを持つ天才だが、ワンルームエンジェルは本当に優しい作品だ。この作品に出会えたことを考えると私の足の指の骨ヒビ入ったことは等価交換だったんだ。

ネタバレしたくないので、これ以上書けない。お願いだから全人類読んでください。読んだら連絡下さい。体育館借りとくから、倉庫前集合。一緒に泣こう。

 

同棲からはじめました。相思相愛編

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相思相愛編である。「同棲からはじめました。」の続巻でタイトル通り同棲しているリーマン二人のラブラブ生活を描いているのだが、何故続巻をおすすめなのか。「同棲からはじめました。(ここでは1とする)」で同居のきっかけとして描かれるのは、女にふられたチャラめのイケメン日野原が同じく未婚のオタクSE矢子と結婚できない男2人として同居してお互い結婚できない理由をレポートしろ、という会社の同僚の謎圧力話からスタートしているのである。

結果オーライラブラブ車庫入れなのだが、続巻ではこのハラスメントめいた結婚至上主義やミソジニックな発言に即反論する女性キャラが登場する。そして二人の付き合いに驚きこそすれ揶揄したりする声は周囲からは上がらない。脇キャラの倫理観GJ。ポリティカル・コレクトネス。アップデート。未来は最高。日野矢子は渡鬼くらい続いてください。

 

ジョウブレイカ

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ジョウブレイカー:顎が外れるほどでっかい飴のこと。ハードキャンディ

エロくてカッコいいタイトルである。アメリカが舞台のBLである。

童貞大学生ローガンは帰省時に幼馴染のダニエルに会い、セックスの相手になってやると言われて結局セフレみたいになるのだが、ダニエルはゲイ男性としてはけっこう経験豊富でどちらかというとローガンが振り回される関係だ。ここに第三者ローガンの父親が絡んできて、そこからラストシーンまでの会話とモノローグで微妙にパワーバランスが変化していく語りの腕にうなってしまった。漫画がうまい!(漫画が!)セリフのセンスも素晴らしくて震えてしまった。作者のニャンニャ先生が日本語セリフを書いているのか?日本語ネイティブ使用者?翻訳のセンス?といつも不思議である。

スイートハート・トリガー」も映画のような味わいがあり、大好き。

 

愛しのXLサイズ


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すごいイケメンだけど巨根ゆえに童貞の小林と天然人たらしの山本の大学生2人がラブラブする話だが、重い実先生の低体温なギャグセンスと丁寧な作画が冴えわたり、エロギャグ漫画なのに静謐という不思議な味わいで癖になる。続編や同棲編などもあって読者に大変愛されている2人だが、山本を宇宙一愛しているのは小林で小林を宇宙一愛しているのは山本なので我々読者は壁紙であり、ハエであり、枯れ葉である。不思議なエロエロオフビート漫画だが、私が感動したセリフがある。

おじいちゃんになっても

山本くんと

セックスしていたいから

山本くんの肛門は大事にしていく

出典元:「愛しのXLサイズ」重い実・著

こんないいセリフ思いつくなんて天才だな。書き取り練習に使いたいくらいだ。

重い実先生の作品は全部好き。重い実エントリ作りたい。どの作品もどうかしてるくらいお互いを愛していて真剣に向き合っていてほぼ真顔なのが潔くて大好き(そしてすごいすけべを慎重に丁寧に描かれる)。

 

マイオンリードギー


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犬BLである。新しい!が、わんわんBL物語なのではなくて、人間にも犬にもなれる人狼と人間のBLだ。変わった設定だが、お互いの気持ちを丁寧に確認していき、犬と人間の付き合い方も考えさせてくれる優しいBLであり、エロいところはほとんどなく心穏やかに読めるが、犬から人間に変身するところで、あら!というところがあってニッコリしてしまった。

echo先生の描く人物はとても可愛らしく、同僚たちの造形が素晴らしいのだ。人間の時の造形が犬種(猫もいる)とぴったり合っていながらどれも自然で、なんという画力!と奥歯を食いしばった。

犬愛に溢れていて、BL愛にも溢れていて、私にこれ以上ぴったりな漫画はないだろう。このように自由で愛らしいBL漫画が生まれたBL界の風土にも感謝である。お心当たりの方、是非ご一読ください。健康になれます。同じ世界観で先に刊行されている マイ リトル ドギー も同じく最高である。しかし本当に両作とも人狼の大山さんと茶太郎くんのルックス描写が素晴らしい。イタグレも描いてほしい~。

(マイ オンリー ドギー にはマイ リトル ドギーの続き短編が収録されている。)

 

しるされしアイ

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ヤンキーの桜田桜田のことが大好きで高校のランク落としても一緒の高校行きたかった(行った)ミナミの、中学から社会人になるまでのお話。

これはBL界の真実でみんな知っていることを書くけども、たなと先生の作品は全部傑作で「あちらこちらぼくら」シリーズの話も「スニーキーレッド」の話も書きたいし、たなと先生だけで1エントリ余裕で語れてしまう。

「しるされしアイ」は適宜暴力沙汰もありつつ、繊細で複雑な10代特有の衝動も描きつつ、絵柄も相まって全体的には穏やかに話が進んでいきそうな雰囲気がある。そう、雰囲気はある。ミナミは明るくて家庭環境も安定しているけれども桜田は危うくて、シンプルながら美しい横顔は特別に目が離せなく、ちょっとした言葉の受け取り方でひどく気持ちが硬くなってしまう。

特にスリリングなプロットでもないのに、言葉に出す気持ち→心で受け取る→着地の違いでこんなに緊張感出るの!漫画うま!!たなと先生は天才。

この緊張感GOD'S OWN COUNTRYみたい。

たなと先生の絵は確かな人体構造理解に基づきつつ、一目見たらすぐにたなと先生だとわかるシンプルでわかりやすいキャラクター造形が魅力だが、セックスシーンは意外というかそれもたなと先生の特色なのだが、かなりしっかり丁寧に描かれている。いつも不思議な気持ちで濡れ場を読んでしまう。

 

たんたんとタント

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兄弟のように育った幼馴染のコタと瞬平は田舎に住む高校生。お互いの気持ちに気が付いて向き合うまでの様子が丁寧に描かれて、夏の音が聴こえてきそうな眩しい情景も素晴らしい。お互い大好きっていうシンプルな話なのにコタの愛され気質で明るい人類の弟みたいな性格と、瞬平の不器用ながらコタが世界一大事過ぎてどうしたらいいかわからなくてモヤモヤしちゃう性格、読んでいるこっちもどうしたらいいかわからないくらい悶えてしまって、腹からエイリアン出てきそうなくらい苦しくなる。私の腹の中になんか居る?

幼馴染BL(OBL)はどうしてこんなに良いのか。「家族みたいできょうだいみたいで恋人みたい」(作中のモノローグ)なんです。助けて。高校時代で時を止めろよ神様。

 

たんたんとタント (SPコミックス mimosa) | きはら記子 |本 | 通販 | Amazon

↑来年コミックス出る。

鯛代くん、君ってやつは

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高校時代で時が止まらなくて良かった。かわいい蛯原先輩に出会えてよかったね鯛代くん。ちょっと顔がホラーぽくて陰キャの鯛代くんと鯛代くんが惚れているめちゃかわいくて世話焼き体質の蛯原先輩がひとの漫研(字書きでも絵描きでもない2人)で大騒ぎするPBL(ピュアなBL)である。

オタクサークルの描写が「わかり」で楽しく、おうちで鑑賞会やらオタク合宿やらイベントに必然のコスプレやら、次々楽しい行事とともに♡ポイントが激増して、まったくゲームやらない自分も(もしかしたら恋愛ゲームってこういう感じなのか…おもしれーヤツ)みたいな思考も芽生えるくらいである。

あと、当て馬がすごく良いし、オタサーのみんなもとても良いし、絵がとにかく上手くてすごいかわいいので満足度がすごい。かわいいが無限に出てくる。

2巻が来年出る。生きる。

https://www.amazon.co.jp/dp/4799742841/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_5DGYFb7M2W9EW

 

 

STAYGOLD

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フォロワー様に「わかり」を頂いた「6才のボクが、大人になるまでBL」である。

叔父(兄弟)2名+姉が置いて行った兄妹計4名が暮らす中山家が舞台。甥・駿人(中学生)が叔父・優士のことを好きになってしまい、断固求愛と断固拒否(当然)の構図で話が進む。

現在5巻まで刊行で、作中の年数が経過しておるのだけど中学生だった駿人がスーパーハイスペック男子に成長しており叔父さんも動揺するが読んでるこっちも動揺した。

ところで、STAYGOLDの素晴らしいところは数えきれないのだが、駿人のことを好きになった同級生の女子が出てくるところがとても良い。中学の時の同級生の子も高校の同級生の子も、秀良子先生が当てる明かりが優しい。主人公にはなれないと思っている彼女たちはただ駿人の引き立てではなく苦しんだり大事な思いを抱えて生きている人間だと描いてくれる。年季の入った陰キャとして私もついに成仏できます。

引き取られた時は小学生だったのにクソガキがスパダリになろうとせむ過程をじっくり見せつけられてどうしたら…!とipad(漫画読み機)齧りながら布団を掘っていたら5巻で眼鏡が吹っ飛んだ。眼鏡が吹っ飛ぶ。これ以上何も言えないけど眼鏡が吹っ飛ぶ。

1年後(推定新刊発売時期)の自分の心臓と眼鏡が心配だ。

 

Dear, MY GOD


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カルト教団で洗脳されてしまった少年リブを助けようとして教団施設に乗り込んだ神父は、教団に捕まってしまう。「つがい」になれば救われると信じるリブにドラッグを飲まされ性的暴行すら受ける監禁生活の中でも希望を失わず、リブを救い出す。リブは神父を自分の神だと考えるようになる。

洗脳、監禁、性的暴行を描いており、すごく痛々しい物語なのだが、悪行はそれとして裁きを受けること、贖罪、愛を求めること、生き直すことの尊さを手加減なしに描かれており、BLというかもう…ノーベル漫画賞お願いします。魂に刻まれた。

 

500年の営み


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恋人を亡くし自殺未遂をはかった寅雄は250年の冷凍睡眠の後、目覚める。そこに亡き恋人と姿かたちがそっくりなアンドロイド・ヒカル=Bが居た。できそこないのヒカル=Bと生前の光との違いを許せず素直に愛せない寅、5世紀の時をかける壮大なリリカルSFBLの傑作である。

この世には好きにならざるを得ないプロットというものを皆心に抱えて生きているだろう。わかるぜ。私の場合はアンドロイドと心を通わせる話だ。(PLUTOの中では特にノース2号の話。心がむちゃくちゃになる。)

ヒカル=Bはできそこないなのだが、それゆえに手間がかかり、「人間らしい」交流が生まれる。矛盾を愛する人間とはどういう存在なのか。何度も絶望し希望を持ち、立ち上がり、めぐり合う。火の鳥の祝福を受けた物語である。

 

2代目地獄ブラザーズ

 

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冥界の王の息子たち10人は同級生のように二代目の王になるべく一緒に勉強している。ちょっと変わった設定で描かれるが基本的に平和なBLである。オムニバス形式で二代目たちのそれぞれが描かれ、OBL(幼馴染BL)があり、異質の存在に初めて出会う恋がある。

一番好きな話は秦広と黒笠の話である。見た目はいかついが心優しい秦広が出会った黒傘は性交により体液を得てエネルギーを補充しなくてはならない身体である。こう書くとかなりエロいのだが、tacocasi先生の絵はとてもさっぱりと可愛らしいので安心してよい。黒笠はそのサキュバス的な必然行動とは別にあっさりした性格で、冥王の息子である秦広と肉体関係はあるが純粋な恋物語として描かれる。

呪いによる紋が体中に出ており切れ長の目が涼しい黒笠、烏天狗、鬼など異形のものたちのキャラ造形がとても良く、それも絵を見る楽しみである。

 

 

弦巻先生の作家生活

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人の縁に恵まれず無職になってしまった男・弦巻の前に、不思議な青年イチイが現れ、仕事を手伝ってほしいという。実はこの青年は鬼で、人間界で作家デビューしたので人間界での影武者になってほしいという。

このイチイさんは全然生活能力がなく無防備なため(それゆえ襲われ未遂が。。。)弦巻が色々と世話を焼くのだけど、だんだんとお互いがかけがえのない存在になっていく様子がほんとほのぼのとしていて読んでいてニッコリしてしまうが、ラストは落涙である。

御側付のオコジョ煤竹がめちゃくちゃ可愛く、神や鬼の造形も最高。

tacocasi先生の他の作品も、ほのぼのとした異界ものBLで独特の世界観を満喫できるので大好きである。まことにおススメであります。

お守りくん (MARBLE COMICS) | tacocasi | ボーイズラブマンガ | Kindleストア | Amazon

うしみつどきどき古書店譚【単話版】 (全3巻) Kindle版 (←単話)

  

リンク アンド リング


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 可愛いものが好きなのに周りの目を気にして自分を出せない別所は好きなマスコットが同じというきっかけで蒔田と仲良くなる。穏やかな性格ながら自分をしっかり持っている蒔田を好きになり、彼と一緒に居たい自分を受け入れ、2人で歩きだすまでをこれ以上ないくらい丁寧に、しかしもたもたした感じを抱かせずに描かれていて、道徳教本?とすら思える。

性行為も二人で相談しながら丁寧に進めていく様子、開発過程なども含めて描ききっていながら、しっかりときめきもあるので、ページごとに一旦記憶してめくった。友だちの描写についても2020年生きていて良かったと思った。

 

僕のおまわりさん

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みんな大好きにやま先生の僕のおまわりさん。あらすじは、僕のおまわりさんであった誠治くんと誠治くんに憧れておまわりさんになった晋ちゃんが再会し、10年以上片思いしていた晋ちゃんと付き合って宇宙一幸せになるという話だ。

くっつくまではドキドキして、くっついてからもお互い思いやってドキドキして大変尊い物語なのだがエロギャグ的な展開も多くて、メガ盛り合掌。

私は辛いとき読み返すと精神が落ち着くので、もはや僕のおまもりさんである。

 

春と夏となっちゃんと秋と冬と僕 

 

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OBL(幼馴染BL)である。 散文調というか、具体的にこれといった太いストーリーが何かあるわけではなく田舎に住む幼馴染(この設定大好きか)のシマとナツオが恋人同士で、彼らの日常を切り取り、季節が進んでいく。1~2ページで出来事を綴っているだけなのにこんなに心臓苦しくなる?というくらい直球でぶち込まれる。シマとナツオがお互い大好きを隠さずに毎日一緒にいて、他愛のない出来事を共有している瞬間の積み重ねが眩し過ぎて、これ日めくりBL?天才?発明?

恐らく自分がこの高校生BLとかOBLが好きな理由は、カミングオブエイジというか、ライフステージの否応ない変化に覚えのある絶望を感じることと、ストーリーのギミックとしての高い効果に惹きつけられるからだと思う。

何にも負けないような気がしているけれど、時間は間違いなく過ぎていて、きっとこのままじゃ居られないけど、もっと二人は素晴らしくなるかもしれないし、もしかしたら悲しい未来があるかも知れない。そういうキラキラした痛みも逃さない描写の細かさは佐岸左岸先生の画力によるところが大きいと思う。これデビューコミックスて!!!

オールドファッションカップケーキ もすごく好きです。

 

その恋、自販機で買えますか


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サラリーマンの小岩井君は会社の自販機補充担当のお兄さん(山下君)のことが気になっており、ある日勇気を出して声をかけてみたら山下君も小岩井君のことが気になってて、付き合うことになる。こんなシンプルな話なのに、何でこんなにときめくのだろうか。

吉井ハルアキ先生は会話の描写がとても自然で上手だと思う。素朴で初心な2人が少しずつお互いを知りたくて交わす会話がとても可愛らしく、ipad(漫画読み機)をカチ割りそうになる。

次の日の仕事とか休みの合わせ方とか、連絡する時間とか、働く大人の時間は不自由だ。リーマンBLで私が好きな部分は相手の仕事や時間を思いやる描写だ。こっちも働く大人だ。その疲労感や次の日からのプレッシャー、圧倒的リアリティがある。仕事のことでしんどくても、ヨレヨレでも、次の日朝早くても、大事なことを優先したい。こうなると日本の悪しき風土で錬成された社畜ですらBLのギミックとして私には映えている。(小岩井君はそこまで社畜ではないが)

付き合ってからもゆっくりと進んでいく山下君と小岩君のお付き合いを無垢な瞳で追っていたので、正直、やらんまま完結かなとのんびり構えていたんだが、おめでとうございます。ということで緩急つけてくる展開で焦りましたがipad(漫画読み機)にかかる握力も増して行った次第である。

君と出会ってから僕は」でも、先生と生徒の関係ながら最後まで一線守った(キスはありました)ので信頼感がすごくある。

 

木々は春

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過去のセックスが上手くいかずゲイなのかどうか迷っている大学生由木くんと、つらい過去のある研究員木庭さん、二人とも人と向き合うのは上手じゃないけど少しずつ距離が近づいていって明るい方向に進んでいく。

ジャケ買いした。だってQ*1でしょ木庭さん。買わずにおられない。中陸なか先生の描く男性の造形が本当に好みでお洋服もとてもおしゃれで可愛らしいのも見ていて楽しい。

人間関係を維持するときのぎこちなさや、目の前にいる人は放っておけないことあるよなあと思わされたり、かなりリアルで心理描写が真摯だと思う。読後感が爽やか。ミモザを男子が持つのとっても良いですね。

 前日譚が「たゆたう種子」で、その後がこの「木々は春」。

 

不死身の命日

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天下のスペックを有するスパダリ(を自負する)冬真を暴漢から助けてくれたのは喧嘩がただ好きなフジミだった。数ページごとに何発もギャグ展開が繰り出されるがちゃんとBがLするときめき過程も余さず描いている、盛り盛りで超絶お得な作品である。

冬馬は完璧であらねばと考え続けてきたが誰とも似ていないフジミに出会い、彼こそ伴侶!と勝手に決める。思い込みが強く声がでかい冬馬と身体が異常に強いが特になんの目標もなくふらふらしていたフジミがお互いの唯一になってラブラブ大大大バカップルになっていく様は爆笑しつつも、大変尊くて泣けてしまう。虫歯先生の描く細身でシンプルな男性が可愛らしくって好き。

 

カラオケ行こ!

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もうあらすじは良いですよね。綾野剛すら衝動がアレしているそうなので。

狂児と聡実、BがLする3年前の物語。はじまりの神話である。

いや~一生Lしなくても、たまにライフステージの変わり目に現れてはほのかに「なんだこの気持ち」を掻きたてて消えていくのもいとをかしなどと思っていたら

 狂児と聡実のこの2ショット、婚礼写真か。

これは祝言あげたちゅうこっちゃ… 

あと、冒頭の「同級生」の佐条利人のダダ漏れ色気、眼鏡、黒髪、汗、白いシャツ、バチギレしたら一番こわいという性質、これ既視感があると思ったら聡実くんと重なって胸がくるしくなってしまった。和田もそりゃ一言言いたくなるよな。わかるぜ。

 

  

終わりの挨拶

好きなBL漫画のことや最近考えていたことなど長々と失礼しました。

とはいっても、すべて有名で売れ売れの作品ばかりなので特に発掘といったわけでもなく知ってる知ってるの嵐だと思う。BL研究1年生であります。

 

まだまだ自分の価値基準もグラグラで矛盾いっぱいな部分とか、掘り下げきれない部分も沢山あるし、勝手にキスもダメだろ問題や、ルッキズム放置か、とかそもそも何で自分はBL読んでるのか、と考え始めると生きる資格あんのか?という感じになってきてしまう。

あくまで私の基準でしかないので、ここはスルーかよ???という部分もあると思う。

BLも(GLも!)読みつつ今後も生きていきたいので本当に勉強するしかないなと思う。

また、時間の都合や自分の語彙の少なさからきらめきを表現できずにリストに挙げられていない作品も多いので、追補版でも出したい気持ちがある。

今年後半は、BLカテゴリではない漫画やアニメもたくさん嗜んでおり、(オタク界隈のネタが)読める、読めるぞ!!であります。

 

本当はね漫画夜話をやりたいのですよ。コマごとにこの表情とか目線とかモブまで語りたいですね。

 

  

長々とありがとうございました。

 

 

*1:ダニエルクレイグ版007に登場するクォーターマスター。ハイスペックなITスキルを持つ武器係という設定だが焦るとケーブルを引っこ抜くという荒業も駆使する。ベン・ウィショーが演じており、眼鏡のベン・ウィショーの可愛らしさに世界がひれ伏す。猫を飼っている。寝るときはパジャマで朝アールグレイを飲む。猫費用を募金したいという声が世界中から寄せられている。

ネタバレあり「ハイキュー!!にハマった」(日向・影山編)

ハイキュー!!にハマった話

 

故郷のマブダチにおすすめされて軽い気持ちで見始めたが、見事ドハマりしてハイキューのことしか考えられなくなった。

 

ハイキューは言わずと知れた週刊少年ジャンプの大人気作で連載8年半、2020年11月に最終巻が出て完結したバレーボール漫画である。元々私はバレーをやっていたこともあり、描写のわかりやすさやプレー上の悩み、試合展開の面白さですぐに夢中になった。

 

あらすじ

主人公・日向翔陽は小学生の時に「小さな巨人」の試合を見てバレーを志すも、中学にはチームが無く、1度しか試合に出れなかった。最初で最後の試合は当然ボロ負けだが、相手チームのセッターにお前は何をやっていたんだ、と言われてショックを受ける。しかし、あの小さな巨人がいた高校に進学し、待望のバレー部の門を叩く。しかし同じく入部希望に来た同級生は中学でボロ負けした相手チームのセッター影山飛雄だった。日向はバレーはド下手だが、類まれなる運動神経の持ち主であり、王様という異名をもつ天才セッター影山となんやかんや喧嘩しながらもコンビを組んでいく、という青春バレーボール物語である。

  

ラッキースケベノイズについて

先に述べておく。大好きだけどほんとに少しだけ気になったところ。

ハイキュー世界では、みんなの憧れのマネージャー潔子先輩に対してギャーギャーうるさいところはあるが、他の週刊漫画に比べて各段に女性への視線がフラットで読みやすい。

だが。それでもゼロじゃなくて、ラッキースケベ未遂みたいなのがほんの一瞬出てきた。本当に一瞬だけなんだけど、ここまで来てこれ出るのか~と少しガッカリしたところはあった。ハイキュー!!ですら出ちゃうのはとっても残念でした。未遂で良かったけど。

でも、潔子先輩と谷内さんがシスターフッドを築いているのもとてもとても良かったし、おおむね恋愛要素がノイズにならずに進んで安心できたのもハマった要素である。

 

感想

日向と影山は、毎回何かと競って喧嘩をする。

私の個人的イデア界用語「付き合っている」*1にも彼らの関係を包括することは出来ない。まだ名前が無いのである。

 

日向と影山はバレーボールを通じて自分を高め、相手を高め、自分を追いつめ、相手を追い詰め、誰よりも相手を信じ、誰よりも相手を求めているのである。この感情はとてつもなく高エネルギーではあるが、何色でもない。誰よりも相手を見ているが、相手を気遣うようなことはあまりない。相手に対してこんなに尊大で居られるのもそれは関係の強固さの証明に他ならない。

影山が日向の調子を伺うときにどう言っていいかわからず「オイ!元気ですか!!」と頭とっ散らかったまま尋ねるコマを目にした時、このコマを毎晩クラシック音楽を聴かせ毎朝水をやって育てた甲斐があったという偽の記憶まで出現したほどです。

 

日向はかなりコミュニケーション能力が高く割と好かれる性格の良い子だが、影山はもともと口下手で性格に難がある。王様の異名も実は独裁者のような態度を揶揄して付けられたのである。しかし、その影山はド下手といいながら毎日日向と対人パスをする。天才なのに。(しかし1年生4人で残りの二人は絶対に離れがたい月島と山口[ここ付き合ってますか?]なので日向影山ペアは不可抗力とも言える。)

ところで、この話は10時間くらいぶっ通しで話せるくらい好きポイントなのだが、日向と影山、あんなに仲悪いのに合宿などではおふとん隣同士、バスも隣の席、結局高校時代はいつも一緒なのだが、初詣に日向が誘ったら「行かない」とだけ返事をする。

 

影山は日向の打点を上げるために、(勿論自分がセッターとして最高の攻撃を生み出すことを考えているとはいえ)スパイカーである日向がどうやったら最高の状態で打てるかを常に考えている。日向のほうが人懐こくて話しかけるのはほぼ日向の方からだが、影山の方が日向のことを考えているのだと思う。神よ。こんなことってありますか?

こういう関係性の展開が各所にある。対戦校で主だったキャラクターは大体セッターとスパイカーである。セッターとスパイカーってこんなはちゃめちゃに強火の関係だったっけ?私は野球のこと全然わからないけどもしかして野球も投手と捕手の間に強火展開ありありなのですか?

さて、私がハイキューでとても好きなところは何もセッターとスパイカーの関係性がありがたいからだけではない。(いや正直ありがたすぎて各校ごとに1エントリ書けるし正直孤爪研磨のだけで論文書けるけど)

 

日向はきわめて泥くさい努力を怠らない。共感性羞恥とも近いような、胸がつぶれるような情けなさから逃げない。無力で、無知であることを、圧倒的に力の差のある人から突き付けられる。それでも日向は、絶対に下を向かないし、いじけたりしない。このいじけないっていうの実はものすごく難しいことでしょう。

タバレスタート

私は一旦読む(見る)のやめたいと思うまで胸が痛かったのは、影山が全日本ユースに召集され、チームメイトの月島も宮城県の強豪校選抜の強化合宿に召集される中、日向はまったく声がかからない。

ここで影山は「先行くぞ」と言うのである。悔しい日向は自分が招集されていないが月島が参加する強化合宿に乗り込むのだ。もちろん度胸があるからといって練習に参加させてはもらえない。雑用をやらされ、周囲からどした?と言われる。恥ずかしさや情けなさ、やり場のなさ、自分の居場所のなさ、そういうものは毎秒襲ってくる。それよりも強くなりたい勉強したいという気持ちが勝てるのである。もうこのメンタルが天才だよ。私はこの泥臭くて、みっともない様子すらしっかり描くところがもはや児童文学のような滋味に満ちていると思う。

影山は代表ユース合宿で、日向と同様、圧倒的な身体能力を持ち小柄で素晴らしいスパイカー・星海光来に出会う。

代表から帰って部に合流し、いつも通り朝練一番乗りを競う日向と影山が早朝ぶっきらぼうに話す。「お前もっと飛べるぞ。」と。影山は、もちろん代表合宿で色んなことを学んできたけど、自分の最高の武器である日向をもっと伸ばす、ということを持って帰ってきたのだ。カゲヤマ…!!!!!(あらゆる感情が去来してこれしか言えない)

スーパーネタバレ

春高で何度も激戦を制し、烏山高校は勝ち上がり、ついに小さな巨人対決(VS星海光来)まで来て、ここまできて日向は試合中に高熱で倒れてしまう。それに気が付いたのは影山だ。春高開幕から今まで身体を休められなかった日向の限界が来たのだ。日向を見ていたのだ。スパイカーのコンディションを見ていた。試合中に触れた手が異常に熱かったこと。前日寝れなかったこと。試合前にご飯をあまり食べなかったこと。興奮して身体を休め(られ)なかったこと。それを全て見ていた。カゲヤマ!!!!!

 

春高が終わり、突然時間が経過する。いきなり3年卒業式。うそ!!やめて時間止めて!(BL編で高校の時間を止めろと騒いでいます→)

 

卒業式でも制服で影山と日向はバレーをする。制服で。制服でジャンプサーブする。どうですか。どうですか。制服でジャンプサーブだよ。

感情暴走特急出発進行だよ!

「またな」と言い交わす。

またな。あんな濃い時間を共有して、またな。である。これだけで校歌10個くらい作れる熱量である。

 

卒業後すぐに影山は輝かしくプロとして日本代表選手として活躍する。しかし日向は、自分の足りない部分を補う為単身ブラジルに渡り、2年ビーチバレーをやるのだ。まただ!!!輝かしく先へ行く影山とひたすら足りない部分を磨き続ける日向。

日向は金もないからバイトしながらの活動だ。(すごいスポンサーは居るのだけど!ありがとう!!!)傍目には影山は天才で何もかも順調、日向は泥臭くあがきながら少しずつ進む。でも影山がどれだけ努力しているか、本人以外で一番知っている、あるいはもしかしたら本人よりも知っているのは日向なのだ。また日向がどれだけ強く望んで歯を食いしばりながら前へ進もうとしているか、それを一番知っているのも影山だ。離れていてもお互いが存在していることで、二人とも絶対に手を抜けないのである。地球の反対側どうし。もう暴れそうだよ。

 

グレートネタバレ

最終的に、日向もプロ選手となり、代表にも招集される。

そして影山は「やっと来たな」と言うのである。

私は心臓を叩いた。深夜に咆哮した。両目からマグマのように涙が流れた。

やっと来たな。待っていたのだ。ずっと。完璧ではないですか。 

何年かけてもどれだけ離れてもお互いがお互いを強く引っ張り絶対に出会う。

信じているんじゃなくて、お前はそこにいるとただ知っている。

つまりこれはクラウドアトラス。

大過ぎる。この二人の気持ちには名前は付けられない。巨大で高熱で目が潰れるほど強い光で私は焼かれた。焦げてしまった。ありがとう。これからショーセツバン読みます。

 

 

 

*1:私が言う「付き合っている」:ステータス交際であることを必ずしも指さないが、2人がいつも一緒にいるのが宇宙の理のように自然である様を指す。現実のステータスは問わないが、付き合っているとは付き合っている以外に言いようのない関係。