ネタバレあり「ハイキュー!!にハマった」(日向・影山編)

ハイキュー!!にハマった話

 

故郷のマブダチにおすすめされて軽い気持ちで見始めたが、見事ドハマりしてハイキューのことしか考えられなくなった。

 

ハイキューは言わずと知れた週刊少年ジャンプの大人気作で連載8年半、2020年11月に最終巻が出て完結したバレーボール漫画である。元々私はバレーをやっていたこともあり、描写のわかりやすさやプレー上の悩み、試合展開の面白さですぐに夢中になった。

 

あらすじ

主人公・日向翔陽は小学生の時に「小さな巨人」の試合を見てバレーを志すも、中学にはチームが無く、1度しか試合に出れなかった。最初で最後の試合は当然ボロ負けだが、相手チームのセッターにお前は何をやっていたんだ、と言われてショックを受ける。しかし、あの小さな巨人がいた高校に進学し、待望のバレー部の門を叩く。しかし同じく入部希望に来た同級生は中学でボロ負けした相手チームのセッター影山飛雄だった。日向はバレーはド下手だが、類まれなる運動神経の持ち主であり、王様という異名をもつ天才セッター影山となんやかんや喧嘩しながらもコンビを組んでいく、という青春バレーボール物語である。

  

ラッキースケベノイズについて

先に述べておく。大好きだけどほんとに少しだけ気になったところ。

ハイキュー世界では、みんなの憧れのマネージャー潔子先輩に対してギャーギャーうるさいところはあるが、他の週刊漫画に比べて各段に女性への視線がフラットで読みやすい。

だが。それでもゼロじゃなくて、ラッキースケベ未遂みたいなのがほんの一瞬出てきた。本当に一瞬だけなんだけど、ここまで来てこれ出るのか~と少しガッカリしたところはあった。ハイキュー!!ですら出ちゃうのはとっても残念でした。未遂で良かったけど。

でも、潔子先輩と谷内さんがシスターフッドを築いているのもとてもとても良かったし、おおむね恋愛要素がノイズにならずに進んで安心できたのもハマった要素である。

 

感想

日向と影山は、毎回何かと競って喧嘩をする。

私の個人的イデア界用語「付き合っている」*1にも彼らの関係を包括することは出来ない。まだ名前が無いのである。

 

日向と影山はバレーボールを通じて自分を高め、相手を高め、自分を追いつめ、相手を追い詰め、誰よりも相手を信じ、誰よりも相手を求めているのである。この感情はとてつもなく高エネルギーではあるが、何色でもない。誰よりも相手を見ているが、相手を気遣うようなことはあまりない。相手に対してこんなに尊大で居られるのもそれは関係の強固さの証明に他ならない。

影山が日向の調子を伺うときにどう言っていいかわからず「オイ!元気ですか!!」と頭とっ散らかったまま尋ねるコマを目にした時、このコマを毎晩クラシック音楽を聴かせ毎朝水をやって育てた甲斐があったという偽の記憶まで出現したほどです。

 

日向はかなりコミュニケーション能力が高く割と好かれる性格の良い子だが、影山はもともと口下手で性格に難がある。王様の異名も実は独裁者のような態度を揶揄して付けられたのである。しかし、その影山はド下手といいながら毎日日向と対人パスをする。天才なのに。(しかし1年生4人で残りの二人は絶対に離れがたい月島と山口[ここ付き合ってますか?]なので日向影山ペアは不可抗力とも言える。)

ところで、この話は10時間くらいぶっ通しで話せるくらい好きポイントなのだが、日向と影山、あんなに仲悪いのに合宿などではおふとん隣同士、バスも隣の席、結局高校時代はいつも一緒なのだが、初詣に日向が誘ったら「行かない」とだけ返事をする。

 

影山は日向の打点を上げるために、(勿論自分がセッターとして最高の攻撃を生み出すことを考えているとはいえ)スパイカーである日向がどうやったら最高の状態で打てるかを常に考えている。日向のほうが人懐こくて話しかけるのはほぼ日向の方からだが、影山の方が日向のことを考えているのだと思う。神よ。こんなことってありますか?

こういう関係性の展開が各所にある。対戦校で主だったキャラクターは大体セッターとスパイカーである。セッターとスパイカーってこんなはちゃめちゃに強火の関係だったっけ?私は野球のこと全然わからないけどもしかして野球も投手と捕手の間に強火展開ありありなのですか?

さて、私がハイキューでとても好きなところは何もセッターとスパイカーの関係性がありがたいからだけではない。(いや正直ありがたすぎて各校ごとに1エントリ書けるし正直孤爪研磨のだけで論文書けるけど)

 

日向はきわめて泥くさい努力を怠らない。共感性羞恥とも近いような、胸がつぶれるような情けなさから逃げない。無力で、無知であることを、圧倒的に力の差のある人から突き付けられる。それでも日向は、絶対に下を向かないし、いじけたりしない。このいじけないっていうの実はものすごく難しいことでしょう。

タバレスタート

私は一旦読む(見る)のやめたいと思うまで胸が痛かったのは、影山が全日本ユースに召集され、チームメイトの月島も宮城県の強豪校選抜の強化合宿に召集される中、日向はまったく声がかからない。

ここで影山は「先行くぞ」と言うのである。悔しい日向は自分が招集されていないが月島が参加する強化合宿に乗り込むのだ。もちろん度胸があるからといって練習に参加させてはもらえない。雑用をやらされ、周囲からどした?と言われる。恥ずかしさや情けなさ、やり場のなさ、自分の居場所のなさ、そういうものは毎秒襲ってくる。それよりも強くなりたい勉強したいという気持ちが勝てるのである。もうこのメンタルが天才だよ。私はこの泥臭くて、みっともない様子すらしっかり描くところがもはや児童文学のような滋味に満ちていると思う。

影山は代表ユース合宿で、日向と同様、圧倒的な身体能力を持ち小柄で素晴らしいスパイカー・星海光来に出会う。

代表から帰って部に合流し、いつも通り朝練一番乗りを競う日向と影山が早朝ぶっきらぼうに話す。「お前もっと飛べるぞ。」と。影山は、もちろん代表合宿で色んなことを学んできたけど、自分の最高の武器である日向をもっと伸ばす、ということを持って帰ってきたのだ。カゲヤマ…!!!!!(あらゆる感情が去来してこれしか言えない)

スーパーネタバレ

春高で何度も激戦を制し、烏山高校は勝ち上がり、ついに小さな巨人対決(VS星海光来)まで来て、ここまできて日向は試合中に高熱で倒れてしまう。それに気が付いたのは影山だ。春高開幕から今まで身体を休められなかった日向の限界が来たのだ。日向を見ていたのだ。スパイカーのコンディションを見ていた。試合中に触れた手が異常に熱かったこと。前日寝れなかったこと。試合前にご飯をあまり食べなかったこと。興奮して身体を休め(られ)なかったこと。それを全て見ていた。カゲヤマ!!!!!

 

春高が終わり、突然時間が経過する。いきなり3年卒業式。うそ!!やめて時間止めて!(BL編で高校の時間を止めろと騒いでいます→)

 

卒業式でも制服で影山と日向はバレーをする。制服で。制服でジャンプサーブする。どうですか。どうですか。制服でジャンプサーブだよ。

感情暴走特急出発進行だよ!

「またな」と言い交わす。

またな。あんな濃い時間を共有して、またな。である。これだけで校歌10個くらい作れる熱量である。

 

卒業後すぐに影山は輝かしくプロとして日本代表選手として活躍する。しかし日向は、自分の足りない部分を補う為単身ブラジルに渡り、2年ビーチバレーをやるのだ。まただ!!!輝かしく先へ行く影山とひたすら足りない部分を磨き続ける日向。

日向は金もないからバイトしながらの活動だ。(すごいスポンサーは居るのだけど!ありがとう!!!)傍目には影山は天才で何もかも順調、日向は泥臭くあがきながら少しずつ進む。でも影山がどれだけ努力しているか、本人以外で一番知っている、あるいはもしかしたら本人よりも知っているのは日向なのだ。また日向がどれだけ強く望んで歯を食いしばりながら前へ進もうとしているか、それを一番知っているのも影山だ。離れていてもお互いが存在していることで、二人とも絶対に手を抜けないのである。地球の反対側どうし。もう暴れそうだよ。

 

グレートネタバレ

最終的に、日向もプロ選手となり、代表にも招集される。

そして影山は「やっと来たな」と言うのである。

私は心臓を叩いた。深夜に咆哮した。両目からマグマのように涙が流れた。

やっと来たな。待っていたのだ。ずっと。完璧ではないですか。 

何年かけてもどれだけ離れてもお互いがお互いを強く引っ張り絶対に出会う。

信じているんじゃなくて、お前はそこにいるとただ知っている。

つまりこれはクラウドアトラス。

大過ぎる。この二人の気持ちには名前は付けられない。巨大で高熱で目が潰れるほど強い光で私は焼かれた。焦げてしまった。ありがとう。これからショーセツバン読みます。

 

 

 

*1:私が言う「付き合っている」:ステータス交際であることを必ずしも指さないが、2人がいつも一緒にいるのが宇宙の理のように自然である様を指す。現実のステータスは問わないが、付き合っているとは付き合っている以外に言いようのない関係。